★★maming4816の京都の行事★★京料理、京菓子ブログ

京都の魅力を伝えます(京の行事と食文化)

❤ Mamingの京都エッセイ❤ vol.6

緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ油断は大敵な時期です。もう少し自粛生活を忘れずに活動していきたいと思います。

さて、5月30日の“ きちんとご飯週間 第7弾 ” フェイスブック

谷口 真由美 - ❤ Mamingの京都エッセイ❤ vol.6... | Facebook

で発信できなかった情報を、このブログに移動してくわしくご案内しています。料理を通して“ 知ったこと“ や “ 京都のこと “ を取りあげていきます。※フェイズブックをご覧になっていない方は、上の緑色の文字をクリックするとご覧になれます。

「京のおかず・決まりもん弁当」

f:id:maming1965:20200530212031j:plain

京のおかず・決まりもん弁当

 今回は “ 京都で昔から毎月決まった日に食べられるおかず “ を6品(うち2品は行事にちなむ料理)作って、お弁当にしてみまし。京都には毎月 “ 1日、8日、15日、18日、28日、末日 ” の6日間に決まったおかずを食べる風習(食文化)があって、その日の料理には、日々の献立に手間をかけないで済む合理的な暮らしの知恵と質素倹約、また、神仏への崇敬と健康、長寿などの願いが込められていました。

50年ほど前まではこのような風習に従って “ 決まった日の決まった料理 ” をつくられている家もありましたが、近ごろはほとんど聞かなくなりました。グローバル社会になって世界の料理も口にする機会が多くなってからは、料理の選択肢も広がり、京の決まったおかずを食べることは薄れつつあります(笑)。

この食文化は、京都商工会議所が推奨する京都・観光文化検定試験公式テキストブック」“ 行事と京料理の章・季節の京料理 で紹介されています。

それでは、いよいよ お弁当のおかず6品をご紹介します。

お料理を入れるお弁当箱は、近くのコンビニエンスストアーで購入したコンビニ弁当の空箱を使ってつくっていますよ!コンビニ弁当風で楽しく!その名も「京のおかず・決まりもん弁当」と名付けました。

f:id:maming1965:20200530212141j:plain

お弁当の中味は「あずのご飯(小豆ご飯)」、「なます(生酢)」、「あらめとお揚げの炊いたん」、「おから」、「南瓜の炊いたん(年中行事の料理)」、「青葱とはんぺい(はんぺん/年中行事の料理)」です。どうぞゆっくりご覧ください

   【 目次 】目次の各項目の上をクリックすると、その文章へ移動します。

 おうちで暮らそう 530  「「京のおかず・決まりもん弁当」」6品(うち2品は年中行事にちなむ料理)

京のおかず6品。“ 決まった日にたべるおかず ” にはどんな意味が込めれているのか一品一品を探ってみたいと思います。

1品目 /1日・15日に食べる あずのご飯(小豆ご飯) 》 小豆の赤は魔除けの赤

f:id:maming1965:20200530212333j:plain

あずのご飯

あずのご飯の「小豆」は、古くは日本最古の歴史書古事記に登場して、大気都比売神オオゲツヒメ)の鼻から生まれたとされています。すでに700年代・神話の時代から小豆は存在して、呪術的な力をもった食べ物として食されていたようです。とくに小豆の赤色が太陽や火、血といった「生命力」を象徴すると考えられ、京都ではそんな小豆の不思議な力にあやかり、 “ 家中がマメで暮らせるように ” と願いながら、毎月1日と15日に “ 小豆ご飯(あずのご飯) ” を炊いて食べる風習ができました。

※小豆の詳しい説明は “ Mamingの京都エッセイ Vol.4 ” のブログ、「和のおやつ編」でご紹介しています。下をクリックしてください↓ ↓

maming1965.hatenablog.com

クッキング 小豆を茹でる→うるち米を炊くときに小豆と小豆の茹で汁を入れて炊く

●ひとこと…うるち米で炊いています。赤飯よりはお米の粘りが少ないだけで、味わいは赤飯とあまりかわりません。赤飯:もち米使用/あずのご飯:うるち米使用

書籍の紹介

f:id:maming1965:20200530212741j:plain

私の暮らしの約束ごと・京都のいちねん 小林由枝 著書

今回は「京の食文化」をご紹介しているので、京の暮らしを本にされている小林由枝さんのイラストが素敵で、可愛い書籍の「私の暮らしの約束ごと・京都のいちねん」をご紹介いたします。

 著者の小林由枝さんは京都の下鴨出身。大学で日本画を学び卒業後は、雑誌や広告デザインなどの絵にかかわる仕事を幅広くされています。この書籍は、京都の四季を二十四節季に分けて、京の伝統行事や歳時を小林さんが自ら描いたイラストと文章でわかりやすく解説されています。書籍の帯には「オールカラー、生粋の京都人がイラストで紹介!」「1年365日、いつ訪れても発見がある」と書かれてあるように、京都ガイドブック的な要素も含んだ「京都本」になっています。

日本画を学んでおられたので、小林さんのイラストは忠実で、丁寧に描かれていて非常に趣きがあります。文庫本スタイルのこの本を片手に、京都を旅してくださいね。

2品目 /1日・15日に食べる なます(生酢) 》  紅白なます の紅白は人生そのものを表現?

f:id:maming1965:20200530213055j:plain

なます

一般に “ なます ” と言うと、漢字で表わせば「生酢」で、大根と人参を細長く千切りにして酢と砂糖に漬けていただく紅白なますの料理を思い浮かべます。しかし、もとは「膾」と書いて、獣肉や魚肉に調味料を合わせて生食する料理を指していました。

日本では、伝来した「膾」が独自に変化して、魚介や野菜、果物を細く薄く切って、とくに “ 酢 ” をベースに和えた料理として発展していきます。元来の「膾」は、時とともに変化して「生酢」という漢字になったようです。よって、魚でも野菜でも果物でも酢で和えれば “ なます ” と呼ばれました。

さて、一般にポピュラーな、人参と大根の「紅白なます」。今回のお弁当にひときわ彩りを添えています。人参の “ 紅 ” と大根の “ 白 ” から紅白なますと呼ばれていますが、紅と白の組み合わせには、紅色が “ 赤ちゃん ” 、白色が “ 死や別れ ” を意味して、その2つの色を組み合わせることによって人生そのもの(人の一生=ハレの舞台)を表現しているのだそうです。また、 “ 紅白の水引き ” を表わしているとも言われています。雑学ではありますが、紅を “ 源氏 ” 、白を “ 平家 ” の旗に見立てて「源平なます」とも呼ぶようです…。いろいろあって面白いですね。なますも、あずのご飯と同様に1日と15日に食べます。

クッキング 紅白なます→人参、大根を薄く千切りに切る→調味料として、好みに合わせた甘酢や二杯酢、三杯酢などで和える。

●ひとこと…私は、なますを常備菜として作り置きをします。カレーやピラフなど脂っこい料理のときにこの甘酸っぱい “ なます ” をいただくと口のなかが油から解放されて爽やかになります(笑)。

3品目 8のつく日(81828日)に食べる 荒布(あらめ)とお揚げの炊いたん 》 末広がりで芽がでる出世のおかず

f:id:maming1965:20200530213445j:plain

荒布とお揚げの炊いたん

“ 八 ” の漢字の形をみると、上がすぼまり、下が広がる “ 末広がり ” の縁起の良い漢数字であることから、「八のつく日」の8日、18日、28日は吉日とされ、荒布(あらめ)の “ め ” を出世の「芽」と置きかえて、「荒布(あらめ)」を使ったお数が、出世にあやかる料理として食卓に並びます。八のつく日に「末広がりで、新たな芽が出ますように」と願って “ 荒布とお揚げの炊いたん ” を食したということです。 ちなみに、“ 荒布 ” の語源は、同じく海藻の若布(わかめ)と比較して表面のシワなどが荒布の方が粗いため、「あらめ」と呼ばれたのだそうです。

クッキング 乾燥荒布を水に張ったボウルに入れて戻す(約10分くらい)→戻した荒布をザルにあげて水を切る→具材のお揚げや人参を細切りにする(好みのサイズでOK)→中火で鍋を熱しごま油をひく→荒布以外の具材を鍋に入れて炒る→醤油と酒、みりん、砂糖、顆粒の和風だし(出汁をとってもよい)を鍋に入れる→全体がなじんだら荒布を入れて煮る→8分ほどで汁気がなくなれば火からおろして完成。

●ひとこと…具材は大豆やこんにゃくも相性がよいです。荒布とよくにた “ ひじき ” で代用されますが、芽が出るように縁起をかつぐ場合は、ひじきでは “ 芽 ” が無いので(出ないので)ダメですね!荒布にいたしましょう!

4品目 /月末に食べる おから 》  おからは切らずに炒って縁起をかつぐ!

f:id:maming1965:20200530213835j:plain

おから

「おから」とは、豆腐を製造する過程で大豆から豆乳を絞ったあとに残った  “  絞りかす  ” の意味です。漢字は間違いやすい “ 空 ” ではなく「殻(から)」です。そして丁寧語の “ 御(お) ” をつけて「御殻(おから)」となるそうです。また、おからは調理で包丁がいらないことから「きらず」とも呼ばれ、この別名から、「来月も変わりなく良い縁が切れないように」とか「お金が切れずに入るように」といった験を担いで “ おからのおかず ” が毎月食べられてきたのでした。

さて、芸能の世界においては、違う呼び名があるそうです。おからは客入りの「空(からっぽ)」を連想させてしまうので、 “ 大入り ” と呼ばれているのだとか。おからは「炒る(いる)」ように料理されることから、「入(い)る」が “ 入る(はいる) ” になり、お客様が多く入るという “ 大入り ” につながるため、縁起の良い言葉で呼ばれています。まるでとんちのようですね。

クッキング 市販のおからを一袋使う→おからの量に見合った量の具材を細かく切る→具材例:人参、椎茸、こんにゃく、お揚げ、筍、ねぎなどを細かく切る→大きなお鍋に多めのサラダ油またはごま油を入れる→火が通りにくい具材から炒める→火が通ったらおからと他の具材を入れて混ぜる(一度火を止めてもよい)→味付けは好みで出汁、醤油、酒、みりん、砂糖を入れて均一に混ぜる→中火または弱火で汁気がなくなるまで焦げないように木べらやゴムベらで混ぜる→途中で味を見て足りないと思う調味料を少しずつ足して味を調える→汁気が飛んだら完成。

●ひとこと…祖母は、月末におからを食べるのはお金がない月末だから、節約の意味もかねてつくるのだよと言ってました。祖母のことだから当時におからの栄養学を知っていたかはわかりませんが、何より安価で冷蔵庫の残り物を細かく切って一緒に料理すれば直ぐできるとも言っていたし、おからの味付けの出汁も前夜に残った “ おでんの出汁 ” を入れるのえ~と、調理が簡単だったことを口にしていました。祖母の若い時代は何人も働いている人がいて、おからは量が増すので助かったと言っていたのがとても印象的でした。

5品目 /年中行事・「冬至」に食べる かぼちゃ(なんきん)の炊いたん 》  冬至 が二つつくものを食べる!

f:id:maming1965:20200530214142j:plain

かぼちゃの炊いたん

京都の12月の冬至 には、緑黄野菜の少ない冬において、カロチンなどのビタミンの栄養が豊富な南瓜(かぼちゃ、なんきん)をつかった料理、「かぼちゃの炊いたん」“ 中風除け ” として食べる風習があります。かぼちゃのオレンジ色が「魔除けの色」ともされていますので、毎月食べる京のお数ではないですが、冬至の年中行事に食する「かぼちゃの炊いたん」をお弁当に入れました。

そして、この冬至から新春に向かうころに “ 運 ” をたくさん呼び込む意味で “ ん ” 二つつく運のある食材の品、「なんきん、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)」も食べると良いとされていますよ。

クッキング かぼちゃを一口大に切る→茹でる(出汁や醤油を入れて茹でてもOK)→水気(汁気)を飛ばして完成 ※甘みが無いかぼちゃの場合は茹でるときに調味料などを足します。

●ひとこと…かぼちゃ元来のもつ甘みを楽しむために味付けをしない祖母でしたが、私が甘めが好きだったので茹でるときに薄いお出汁に少しだけお醤油とお砂糖または味醂を足してくれました。懐かしい思い出です。

6品目 /年中行事・1020日の「ゑびす講」に食べる 青葱とはんぺい(はんぺん) 》  笹に小判で商売繁盛!

f:id:maming1965:20200530214647j:plain

青葱とはんぺいの汁物

ゑびす講とは、10月の神無月(日本国中の神様たちが出雲大社に集まって話し合いをする月で、神様が不在になるので神無月。いっぽう、出雲には神様が集まるので “ 神在月 ” となる)に出雲へ赴かない「留守神」とされた “ えびす神 ” または、 “ かまど神 ” を祀り、一年の無事を感謝して五穀豊穣、大漁あるいは、商売繁盛を祈願する日です。ある説では、留守番で一人ぼっちのえびす神を慰めようとしたのが、「ゑびす講」の始まりとも言われていますよ。※「講」とは、法会の一種で漁師や商人が集団で祭祀を行う信仰結社的な意味合いもあるが、各家庭内での祭祀の意味もある。

京都では、その伝統行事の「ゑびす講」の10月20日に、えびす神のご利益・商売繁盛の縁起物 “ 笹に小判 ” に由来する料理として、「青葱とはんぺい」の汁物を食べます。青葱を “ 福笹 ” 、はんぺいを “ 小判 ” に見立ててつくられた「青葱とはんぺい」の料理は、特に京都の商人が、お参りののちに商売繁盛を願って食べたとか。一般家庭でも「一年の無事を感謝」して食卓に並びました。

今回は、汁物ではなく青葱とはんぺいを焼いてお弁当のおかずとしていれました。クッキングでは、汁物として簡単に説明しています。

クッキング 青葱をなるべく斜め切りにする(笹に見立てるため)、はんぺいも切る→すまし汁をつくる→すまし汁に青葱とはんぺいを入れて少し煮立たせると完成

●ひとこと…質素倹約の汁物ですが、込められた願いは “ 小判ザクザク ” の商売繁盛!縁起を担ぐ食べ物は奥が深いなあ~とあらためて感じました。

 

  Mamingのつぶやき

 今、コロナウイルス感染を防止するために必要以外の外出を自粛するように求められているなか、町中の食事処はテイクアウトのお弁当を店頭で出されるようになりました。お店ごとに特色あるお弁当は楽しいですね。今まで行ったことがない居酒屋さんやラーメン屋さんがお弁当をつくって売っておられたりして、そのお店の味を知ることができるチャンス。お弁当が美味しければコロナが完全に終息したころに行ってみたいと思っています。そういう意味で、お店もお弁当販売は薄利かもしれませんが、近い未来への投資と思って頑張ってくださいと私はつぶやいていました。

…っといっても私も他人ごとではないのです。焦っています。観光業界も自粛で悠長なことを言っている身分ではないのです。焦りますが、やっぱり私の場合も近い未来への投資と思って、実のあることを小さい頭で考えています。

今日はなんだか暗い “ つぶやき ” になりましたが、一日も早く本来のあるべく京都の姿にもどるように願って明日を迎えたいと思います。

 

 下記で情報を発信しています

はてなブログ https://maming1965.hatenablog.com/
インスタグラム https://www.instagram.com/maming1965
フェイスブック https://www.facebook.com/maming.august
ツイッター https://twitter.com/maming1965

 

#おうちで暮らす #外出自粛 #弁当 #京都 #決まった日の決まった料理 #京都・観光文化検定試験公式テキストブック #コンビニ弁当風 #京のおかず・きまりもん弁当 #小豆 #古事記 #小林由枝 #私の暮らしの約束ごと・京都のいちねん #京都ガイドブック #京都本 #なます #生酢 #紅白なます #膾 #源平なます #あずのご飯 #荒布 #あらめ #出世の芽 #おから #きらず #大入り #冬至 #かぼちゃの炊いたん #中風除け #ゑびす講 #えびす神 #商売繁盛 #福笹と小判 #テイクアウト